haruhi-ss 俺的ベスト(おれべす)

1. 10年越しの手紙
2. 1日遅れのひな祭り
3. 25
4. 25年前の七夕
5. B級ドラマ~涼宮ハルヒの別れ~
6. DoublePlay
7. for Heroines, Kyon losing filters (AA)
8. Girl's Day 
9. HARUHI!
10. I believe…
11. imouto
12. Legend of Necktie
13. Lost my music
14. MASAYUME
15. Petit-haruhi
16. proof
17. Special Window
18. あ~ん
19. あたし以外の
20. ある『幸せ家族』
21. ある雨の日のハイテンションユッキー
22. ある女子高校生の二ヶ月間の乙女日記
23. イチバンニアナタヘ
24. ウソとホントの狭間で
25. お互いの気持ち
26. お前がいるから
27. お悩みハルヒ
28. カエルのたましい
29. カチューシャ
30. ぎゅ
31. キョン1/2
32. キョンがアンケートから情緒不安定になりました
33. キョンとハルヒの事実婚生活
34. キョンならOK
35. キョンにとって
36. キョンのベタ告白
37. キョンの弁当
38. キョンの誘惑
39. キョンの涙
40. キョンは死なない
41. ご褒美ごっこ
42. ジュニア
43. ジョン・スミスの消失
44. スッキリおさめる
45. それから
46. それは誤解で勘違い
47. ただの人間
48. ダブルブッキング
49. ツンデレの気持ち
50. どうして
51. ねこねこ
52. ばーすでぃ
53. はい、メガネon
54. パパは高校1年生
55. ハルキョンズカクテル
56. ハルキョンのグダデレ
57. はるひ の のしかかる こうげき!
58. はるひすいっち
59. ハルヒとバーに
60. ハルヒと長門の呼称
61. ハルヒの悩み
62. ハルヒは俺の──
63. ファーストキスは誰のもの?
64. ふっくらふかふか
65. フラクラ
66. フリだけじゃ嫌!
67. まだまだ
68. ミヨキチが長門とキョンの娘だったら…?
69. モノマネ
70. やきもち
71. やれやれ
72. ヨイコク
73. リスペクト・ザ・ハイテンションユッキー
74. 悪夢を食べる聖獣
75. 雨宿り
76. 花嫁消失
77. 覚めざらましを
78. 完璧なポニーテール
79. 許婚と最愛の人
80. 距離
81. 教科書と嫉妬
82. 迎えに行くから
83. 結婚記念日の怪
84. 月で挙式を
85. 月と徒花
86. 犬も食わない
87. 古泉の陰謀
88. 古泉一樹の親友
89. 孤島(原作版)にて
90. 幸せの連鎖
91. 幸運な日
92. 佐々木IN北高
93. 思い出はおっくせんまん
94. 射手座の日、再び
95. 習慣化
96. 充電
97. 女、時々酒乱につき
98. 女の子
99. 小さな来訪者
100. 小春日和
101. 少女の願い
102. 消失if else
103. 笑顔の花嫁
104. 心配
105. 新春到来
106. 酔いどれクリスマス
107. 生き物ってつらいわね  
108. 醒めない夢
109. 宣戦布告?
110. 前日の酔っぱらい
111. 素直になれなくて
112. 素敵な旦那様の見つけ方
113. 谷口のミニ同窓会
114. 谷目
115. 暖かな2人
116. 朝比奈みくる、十七歳です。
117. 朝比奈みくるの最後の挨拶
118. 長門さんとミヨキチ
119. 長門さんと花
120. 長門有希さんの暴走
121. 長門有希の嫉妬
122. 長門有希の憂鬱
123. 通行人・涼宮ハルヒ
124. 冬のあっため方 
125. 動揺作戦
126. 二度目の消失日
127. 日記と六月の第三日曜日
128. 濡れ衣だなんて言えない
129. 猫は同じ夢を見るか
130. 彼の決意
131. 不思議戦隊SOS
132. 普通の日
133. 報復の仕方
134. 北高生人気投票
135. 未来からの電話
136. 無題(Disappearance of Yuki Nagato)
137. 無題(テクニシャン)
138. 無題(ハルヒ以外の……女には…興味がねえ!!)
139. 無題(ホスト部)
140. 無題(今日は春休み初日…)
141. 無題(暑いからくっ付けない)
142. 無題(席順)
143. 無題(湯飲み)
144. 無題(閉鎖空間)
145. 無題(別視点からはバカップル)
146. 遊園地は戦場と心得よ
147. 様
148. 裸
149. 涼宮さんとキョン子さん
150. 涼宮ハルヒと生徒会
151. 涼宮ハルヒの影響
152. 涼宮ハルヒの改竄
153. 涼宮ハルヒの軌跡
154. 涼宮ハルヒの疑惑
155. 涼宮ハルヒの強奪
156. 涼宮ハルヒの決心
157. 涼宮ハルヒの結末
158. 涼宮ハルヒの催眠術
159. 涼宮ハルヒの終焉
160. 涼宮ハルヒの出産
161. 涼宮ハルヒの正夢
162. 涼宮ハルヒの喪失 
163. 涼宮ハルヒの泥酔
164. 涼宮ハルヒの転換
165. 涼宮ハルヒの糖影
166. 涼宮ハルヒの独白
167. 涼宮ハルヒの微笑
168. 涼宮ハルヒの邁進
169. 驟雨

遊園地は戦場と心得よ


俺は今、絶世の美女二人に挟まれ、両腕に胸を押し付けられるように抱きつかれている…
実に喜ばしいハーレム状態のはずなのだが…
ハルヒ「あ、あ、あらぁ~…佐々木さん、随分とふ、ふ、震えているようね」
佐々木「そ、そ、そんな涼宮さんこそひょっとして、
そ、存在も確認されていないような霊的物質が怖いのかい?」
 
バァ~!!
きゃぁあぁぁあぁああぁぁああぁ~~~~~~~!!!!!!!!!!!
 
キョン「おいおい、二人ともキャラに似合わず何をそんなに怖がってるんだ?」
ハルヒ・佐々木「怖がってなんかいない!!!!」
キョン「お化け屋敷如きでそんなに泣くかね?」
ハルヒ・佐々木「泣いてなんかいない!!!!」
二人してそんな涙目で怒鳴られてもな…やれやれ。
 
俺は今、SOS団と佐々木団の親交を深めようというハルヒの案で遊園地に来ている。
佐々木は絶対に断ると思っていたのだが、予想外に乗っかってきやがった。
二人は今日、集合した時から隣同士で何やら妙な笑顔でニコニコとずっと話し込んでいた。
意外と気が合うんだろうか?共通の話題なんてあるんだろうか、とも思うが何はともあれ、
うん、うん、俺からしたら二人が仲が良くなってくれるのは実に喜ばしい事だ。
 
ハルヒ「さ、さ、佐々木さん、こ、こ、怖くないって言いながら
キョンの腕にしっかりしがみつき過ぎてるようだけど?」
佐々木「そ、そ、そういう涼宮さんこそキョンのシャツの袖が破けそうだ」
ハルヒ「こ、これはその…そうよ!SOS団の団長として団員を守って導くのも務めなの!
暗闇で迷子にでもなったらだ、だ、団長の責任問題だわ」
佐々木「そ、それは同感だ。彼は親友だからね、な、何に変えても守り導くのが絆というものさ」
 
ドン!!
きゃぁあぁぁあぁああぁぁああぁ~~~~~~~!!!!!!!!!!!
 
お~い…団長としての務めは?親友としての絆は?
なんでお前らは俺の後ろに回って俺を最前線に押し出して盾にしてるんだよ…。
キョン「ほら、二人とも前に進まないと後ろがつっかえるし、いつまで経っても外に出られないぞ」
二人は俺を盾にし、背中を押しながらゆっくり歩いている。
 
カタッ……
 
佐々木「い、今、後ろから何か音がしなかったかい?」
ハルヒ「あ、あたしにも何か聞こえた気がする…」
キョン「ハッハッ、じゃあ後ろからも何か出てくるんじゃないか?」
ハルヒ・佐々木「えっ!?嘘!?後ろからも!?」
 
カタッ……
 
ハルヒ「キョ、キョン。あんたちょっと後ろ振り返って見てみなさいよ!これは任務よ!」
佐々木「そ、そうだね、古来より戦術面において後方確認と追っ手の追跡をかわす為に
殿(しんがり)という部隊が組織されていた。そ、それは実に名誉ある役目だったのさ
き、君も一応、男であるという面目を保ちたいだろうからその役目を遠慮なく譲ろう」
要はお前ら、後ろを振り返るのが怖いんだな……あぁ、真っ暗闇だが、なんか火の玉が4つ見えるな…
 
カタッ……
長門「………」九曜「―――」
 
ぎゃぁあぁぁあぁああぁぁああぁ~~~~~~~!!!!!!!!!!!
ハルヒ・佐々木「キョ、キョ~~~~~ン!!!!!!!!!!!!!」
 
きゃぁあぁぁあぁああぁぁああぁ~~~~~~~!!!!!!!!!!!
 
ハルヒ「ちょっとキョン!あんた、団長残して一人で逃げるなんてどういう事よ!?」
佐々木「酷いよ…キョン、君だけは信じていたのに…」
ハルヒと佐々木は涙目で叫びながらお化け屋敷から猛ダッシュで飛び出してきた。
す、すまん、俺も息が…本当に恐ろしいものを見ちまって、つ、つい…
キョン「わ、悪かった…お詫びと言っちゃ何だがアイスでも奢る」
ハルヒ「当たり前よ!」
佐々木「当然だね!」
 
ハルヒ(アイス、何を頼もうかしら…ここはやっぱり…)
佐々木(キョンに女の子らしさをアピールする戦略として…)
ハルヒ(苺という手もあるけれど…)
佐々木(それではあまりにも露骨過ぎやしないだろうか?)
ハルヒ(これまで築いてきたキャラというものもあるから…)
佐々木(あえてあっさり無難にバニラ…?)
ハルヒ(戦略としてはチョコレートなんかも良い手なんだけれど…)
佐々木(年頃の女の子としてはニキビの出来易いチョコは避けるべき…)
ハルヒ(やはりフルーツ系で攻めるのが定石…)
佐々木(変化球的に攻めるならば…)
ハルヒ(シトラス系フルーツも捨て難い選択肢…)
佐々木(と言う事はファーストキスの味と言われるレモン…?)
ハルヒ(でも、あまり爽やか過ぎると…)
佐々木(かえって『あぁ、こいつはあっさりしてるな』という印象で逆効果…)
ハルヒ(印象面ではベリー系の方がやや可愛くは映る…)
佐々木(しかし、ベリー系は選択肢の幅が広過ぎるのが難点…)
ハルヒ(そして、彼女の打つ手の内にもよって戦略を変えなければ…)
佐々木(彼女と被ってしまうと効果は薄れてしまう…)
ハルヒ(やはり打開策として…)
佐々木(彼女より可愛く映る上で…)
ハルヒ(キョンにも強くアピール出来る…)
佐々木(打つべき手は…)
 
ハルヒ・佐々木(キョンが注文した瞬間に素早くさりげなく同じものを頼んで…
        やっぱり気が合うのかな♪一緒になっちゃったね♪アッピール!!)
 
キョン「う~ん……俺、抹茶小豆で」
 
ハルヒ・佐々木(……それはない!!!)
 
なんだか二人はアイス選びにえらい時間を掛けて悩んでいたが
結局、二人とも苺を頼んでいた。
無難だな。
キョン「さて、アイスも食ったし、次はどこ行くか?」
 
ハルヒ(ここは無難に絶叫マシーンという選択肢もあるけれど…)
佐々木(絶叫マシーンは正直、あまり怖くはない…)
ハルヒ(怖がったフリなんてしたらわざとらしいぶりっ子と敬遠されてキャラ崩壊の危機…)
 
佐々木(それにまだ絶叫マシーンは奥の手の一つとして残しておく時間帯)
ハルヒ(コーヒーカップという3人が丸く収まる平和的な選択肢も悪くはないけど…)
佐々木(コーヒーカップで目が回って介抱してもらうなんて戦略もあるにはあるが…)
ハルヒ(コーヒーカップで目を回したら盛り上がってる空気を壊す可能性も否めない…)
 
ハルヒ・佐々木(やっぱりこれね…)
 
キョン「ん?決まったのか?」
ハルヒ・佐々木「ここ!!メリーゴーラウンド!!」
 
ハルヒ(そうよ!)
佐々木(そう!メリーゴーラウンドで二人で白馬に乗る…)
ハルヒ(白馬の王子様に抱きかかえられたお姫様作戦!)
佐々木(かぼちゃの馬車も悪くはないけれど…)
ハルヒ(密着度とシチュエーションという点を考えるとね…)
佐々木(白馬に優るものは無し!)
 
キョン「ん~…俺はいいや、なんか少女チックだし。
    二人で乗ってこいよ。俺は外から姫様達が回ってるの眺めてるわ」
 
くるくるくる…
 
ハルヒ(自分から言い出した以上、逃げられないから乗らざるを得なかったけど…)
佐々木(お…女二人でかぼちゃの馬車に乗っても全然楽しくないわ…)
 
なんだ?自分達からメリーゴーラウンド乗りたいとか言っときながら、そんな楽しくなかったのか?
それともはしゃぎ過ぎてもう疲れてるんだろうか?
キョン「二人ともちょっと休むか?」
ハルヒ・佐々木「全っ然、大丈夫!!」
キョン「お、おう、そうか…」
なんでそんな急に怒鳴るんだよ…
キョン「しかし、お前ら二人とも荷物重いな。何が入ってるんだ?」
ハルヒ・佐々木(それはお昼までのお楽しみよ…くっくっくっ…)
キョン「まぁいいや。荷物くらい俺がまとめて持ってやるよ」
ハルヒ「団長の荷物持ちも立派な仕事だからね!さすがSOS団の団員だわ」
佐々木「こういう時に頼りになるのはやっぱり男の子だよね、キョンは」
 
ハルヒ(ハッ!!し、しまったぁぁああぁあぁぁ~~~~!!!)
佐々木(くっくっ……一歩リ~ド…)
ハルヒ(やられたわ…)
佐々木(さりげなくキョンは強くて頼りになる男だね♪アピールで好感度UP作戦、発動!!)
ハルヒ(いつもの調子で自ら墓穴を掘って佐々木さんにチャンスを与えてしまったわ…)
佐々木(絶好のチャンスを頂いちゃって悪いわね、涼宮さん♪)
 
キョン「次は一休みも兼ねてまったり観覧車にでも乗るか?」
ハルヒ・佐々木「良いアイデアね!!」
 
ハルヒ(なんとしてでもさっきのマイナスポイントを取り返さないと…)
佐々木(ここは更に駄目押しをしとかないとね…)
ハルヒ(観覧車と言えば密室の空間に加え…)
佐々木(高い所からパノラマを展望出来る利点もあり…)
ハルヒ(『わぁ~綺麗な景色♪』と目を輝かせると効果絶大!!)
佐々木(その為にはまず…)
 
ハルヒ・佐々木(ここはなんとしてでもキョンの隣の席を確保!!!)
 
キョン「やれやれ…よっこらせと…」
 
ハルヒ・佐々木(なんで自分の隣に全部、荷物置いちゃうのよぉぉおおぉおぉ~~~!!!!!!)
 
ハルヒ「わぁ~あっちの海、綺麗♪ベイブリッジも見える!!」
佐々木「ほら、天気が良いから遠くの方に絶景の山が広がってるね!!」
キョン「あぁ~そうだな…」
俺はシマウマじゃないから反対方向を同時には見れんぞ…
あと、さすがに怖いから二人ともあんまり揺らすな。
 
ハルヒ(フフ…順調に行ってるわ…)
佐々木(くっくっ…さりげなく奥の席は確保…)
ハルヒ(ここはあくまで次への布石…)
佐々木(観覧車は降りる時にこそ、最大のチャンスあり!!)
ハルヒ(観覧車は常に動いて回っている…)
佐々木(降りる時点において男性が女性の手を引き、降りる女性をエスコート…)
ハルヒ(降りる瞬間につまづいて不可抗力で胸に飛び込むというドジっ子作戦も可能ね)
佐々木(ふいに襟にしがみついて上目遣いで『ありがとう』で健気さを醸し出す…)
 
ハルヒ・佐々木(完璧な作戦!!!)
 
ハルヒ(さぁ、ゴールが近付いてきたわよ。あたしから先に行かせて貰うわ、佐々木さん!!)
佐々木(後からの方がより強く印象に残り、且つ作戦に応用が効くのよ、涼宮さん!!)
 
ガタンッ…
 
キョン「悪い…俺、荷物持ってるから二人とも先に降りてくれ」
 
ハルヒ・佐々木(男なら女の子をエスコートしなさいよぉぉおおぉおぉ~~~!!!!!!)

古泉 (なんて気まずい組み合わせなんでしょうか……
朝比奈みくると藤原の未来人二人は元々、関係は悪いですし、
どうやら橘京子も藤原とはあまり関係は良好ではないようですね。
しかも橘京子はさっきからチクチク僕にも突っかかってきますし…
面倒な事この上ない組み合わせだ…)
 
 橘  (この古泉とか言う男、ずっとニヤニヤしてるけど腹の中はきっと真っ黒なのです。
本音を隠している匂いが漂ってきて危険極まり無い男。
機関の人間でさえなければ、顔は悪くないので有りなのですが…)
 
みくる(さっきからほとんど会話がありません…皆さん、何を考えているのでしょうか?
早くお昼になって皆さんと合流したいです~!!)
 
藤原 (あぁ~…面倒臭っ!よりにもよってこんな女共とこんな低文明なガキの遊び場で
何しろっつうんだよ!)

せっかく荷物を持ってやると言ってやったのに『やっぱり自分で持つ!!』と
二人に荷物を引ったくられてしまった…今日のこいつらは何を考えているのかさっぱり分からん。
 
ハルヒ「やっぱり遊園地と言ったら絶叫マシーンは欠かせないと思わない!?」
まぁな…お前はきっとそういうの好きなんだろうけど、佐々木は…
佐々木「さすが涼宮さん、実に的を射た意見だね」
意外だ…と言うか、今日は二人とも行動が予想外の連続だ。
 
ハルヒ(絶叫マシーンは遊園地ごとの売りである故に…)
佐々木(遊園地が最も力の入れているアトラクション!!)
ハルヒ(あたし自身、あまり怖さは感じないけれど…)
佐々木(その体感速度と落下時におけるGの圧力を馬鹿にしてはならない…)
ハルヒ(どんな人間だって吐き気や目眩を催す可能性が秘められている…)
佐々木(つまりそれはある程度、築いてきたキャラを崩す事も可能という事…)
ハルヒ(あたしにだって女の子として、いじらしい所もあるのよというポイントを見せれば…)
佐々木(可愛さをアピール出来…)
ハルヒ(介抱と言う名の密着も不自然ではない!!)
 
ハルヒ・佐々木(つまりここは演技力によるいじらしさというギャップが問われるセクション!)
 
ハルヒ「ねぇ、キョンは絶叫マシーンとかって平気?」(まずは軽くジャブ…)
佐々木(気遣いを入れてくるとは…やるじゃないか、涼宮さん…)
キョン「あぁ~…久しく乗ってないが…昔、ちょっと酔った事はあるな」
ハルヒ「その時はあたしが面倒見てあげるわよ!!」 (右ストレート)
佐々木「でも、実は僕、ちょっと弱いかも…」(クロスカウンター!!)
ハルヒ(くっ…蝶のように舞い、蜂のように刺す、まるでモハメド・アリね)
キョン「本当か?意外だな」
佐々木「キョン、何かあったらちゃんと介抱してくれたまえ」(左フック!!)
ハルヒ「キョンが倒れちゃうかもしれないからあたしがまとめて介抱したげるわ!!」(右アッパー!!)
 
ハルヒ(やるわね…佐々木さん、常に油断なく畳み掛けてくるわ…)
佐々木(さすがだね…涼宮さん、なかなか主導権を握れない…)
 
キョン「とりあえずジェットコースターで良いだろ?」
 
佐々木「僕一人じゃ不安だから誰か隣にいて欲しいな…」
ハルヒ「でも、キョンに何かあったらそれこそ一大事だと思うわ!」
 
キョン「おぉ、古泉」
古泉 「おや?奇遇ですね。皆さんもジェットコースターですか。
藤原さんは乗らないとおっしゃっていたので
奇数になってしまって隣が寂しかったんですよ」
キョン「じゃあ、俺が座るよ。ハルヒ、佐々木の隣、頼むな」
 
ハルヒ・佐々木(古泉ぃぃぃいいいいぃぃい~~~~~~!!!!!!!!!)
 
きゃぁあぁぁあぁああぁぁああぁ~~~~~~~!!!!!!!!!!!
 
ハルヒ(平気だと思ってたのに…)
佐々木(予想以上に怖かった…)
キョン「おい、お前ら、大丈夫か?」
ハルヒ(ここで気持ち悪いとしなだれかかるのは簡単…)
佐々木(ただ皆の前でやるのは空気を壊すという意味で最悪の行為…)
ハルヒ・佐々木(余計な奴らと、はち合わせてしまったもんだわ…)
 
橘「おぇっぷ…」
キョン「お、おい、大丈夫か?」
 
佐々木(橘さん…)
ハルヒ(マジゲロ!!)
佐々木(あなたは最初からそうだったが…
ハルヒ(もう少し空気を読むべきだわ!!)
佐々木(いつも余計な面倒を作るのは得意技!?)
 
キョン(朝比奈さんを誘拐したり、勘違いも甚だしいこの超能力者は嫌いだが、
さすがに目の前で吐いてる女を見捨ててどっかへ行けるほど俺は薄情には出来ちゃいない)
橘「あ、ありがとうございます」
キョン「いや、良いんだが…しばらく休むか?」
 
ハルヒ(何、背中さすってんのよ!?キョン)
佐々木(ツインテールで口元に手をやり、涙目の上目遣いなんて卑怯な事この上ない所業!!)
ハルヒ(目線と手つきがいやらしいのよ!!)
佐々木(これはバトルロワイヤルになる可能性も視野にいれて熟慮すべき事態だね)
 
藤原「ざまぁないな、橘」
 
ハルヒ・佐々木(同意!!)
 
キョン「ちょっと、そういう言い方はないでしょ!?あんた達の仲間でしょうが!!」
ハルヒ・佐々木(キョン!!何をそんなにムキになって!?)
藤原「ったく、面倒な奴だ。俺が見とくからお前らどっか消えろ」
古泉「ちょうどお昼の時間ですから長門さんと周防さんも呼んで一緒にお昼でも食べましょうか?」
長門「…食事の時間と聞いて来た」九曜「―――」
 
いつの間に!!!?
 
佐々木(くっくっくっ…本日のメインイベント…)
ハルヒ(フッフッフッ…とうとう来たわ…)
佐々木(キョンの好きな食べ物についてのデータは全て分析済みなのさ…)
ハルヒ(キョンの舌はもうすでにあたしの手作り料理で飼い馴らしてあるのよ、調教済みだわ…)
 
キョン(なんでハルヒと佐々木は勝ち誇ったような笑みを浮かべているのか、意味が分からん…)
 
ハルヒ「ここならちょうど木陰になってて涼しいから橘さんを休ませるのにも最適ね!」
佐々木「そうだね。大丈夫かい?橘さん」
橘「はい、少し楽になってきました…」
キョン「あんまり無理はせん方が良い。誰かお茶でも持ってないか?」
ハルヒ・佐々木(お茶、お茶…)
みくる「はい、どうぞ♪」
  
佐々木(遅れた…)
ハルヒ(さすが、やるわね。みくるちゃん…)
佐々木(ぽーっとしているようであの人も油断ならない…)
ハルヒ(でも、あくまでメインは手作りのお弁当…)
  
古泉「実は今日、遊園地に行くと話をしたら森さんが手作りの弁当を作ってくれまして…」
ハルヒ(森さん!!)
佐々木(誰!?)
キョン「こりゃ凄い弁当だな!!本当に森さんって一体、何者なんだ!?」
ハルヒ(思わぬライバル出現だわ…)
佐々木(森さんって古泉君の彼女?実に予想外な豪華さだね)
キョン「俺も妹に手作り弁当持たされたよ、さすがに断れなくてな…」
  
ハルヒ(ちっ…妹ちゃんめ…)
佐々木(あの娘、余計な事を…)
  
ハルヒ・佐々木(でも、主役は誰にも渡さない!!
手作り弁当で料理上手な可愛い女の子アピールタイム!!)
  
~To be continued

ランチタイム編

耳元をくすぐる風達は今日はゆっくりと散歩をしている。
柔らかく落ちてくる木漏れ日が風に揺られて震え、
緑の葉っぱ達は明るく優しい声で歌っている。
僕らを見守るその木の根元では一人の女の子が水を片手にゲロを吐いている―――
 
橘「おぇっぷ…」
 
佐々木「本当に大丈夫かい?橘さん。何だったら医務室にでも行こうか?」
橘「いえ、平気です。昔から絶叫系の乗り物には弱いのです…でも、しばらくしたら治るので…」
じゃあ、なんで乗ったんだ…という無粋な事は聞かないでおこう。
時に女の子は
(昔は駄目だったけど、今はもう大丈夫なんじゃないかな~?
 甘酸っぱくもほろ苦い様々な青春の経験を経て成長した事で
 昔の私とは違うはず、今ならいけるんじゃないかな~?)
という行動に出てしまう事が多々あるものだ。
今の彼女のように大抵、失敗に終わる事の方が多いのだが…
 
藤原「じゃあ、なんで乗ったんだよ?」
いた。無粋でデリカシーの欠片も無い奴。
長門「そう…彼女に問題は無い。それよりも優先すべきは食事。
風味豊かな食を味わうには常に一分一秒の時間に危機感を持つべき」
要は早く食べたいんだな、長門。
 
ハルヒ・佐々木(そうよ!!このランチタイムという中盤戦の山場…。
        ここを逃しては勝利と言う名の美酒にはありつけない!)
 
ハルヒ・佐々木「じゃ~ん!!」
 
ハルヒ(キョンの大好物、豚の生姜焼き&焼きそば!!)
佐々木(生姜焼きには刻んだバラ肉、胡椒は白より黒!!)
ハルヒ(生姜は刻みではなく、隠し味のりんごと共に擦りおろしでより風味豊かに仕上げたわ)
佐々木(キョンは焼きそばをおかずにご飯を食べる意外に強靭な胃袋の持ち主!!)
ハルヒ(味付けはウスターではなく、お好みソースで)
佐々木(豚肉、天かす、キャベツ、玉葱、紅ショウガのSimple is Best!!)
ハルヒ(もやしは麺を減らしたカモフラージュだと許さない!!)
佐々木(更にトッピングとしてマヨネーズも完備!!)
ハルヒ(キョンは乳臭い牛よりも淡白な豚肉が好み!!)
佐々木(鶏肉には昔、鶏に襲われたトラウマから恨みあり!!)
ハルヒ(おにぎりはおかか&梅+いなり寿司!!)
佐々木(こんぶはしょっぱ過ぎるから苦手!鮭はボソボソ感が駄目!)
ハルヒ(ツナマヨは苺大福と共に食の邪道として認めていない!!)
佐々木(付け合わせは卵焼きとウインナー、茹でたブロッコリーと甘めの人参)
ハルヒ(卵焼きは一度卵黄と卵白に分け、卵白をメレンゲ状にした後、
卵黄とはちみつ、生クリーム、塩少々と混ぜてフワッと仕上がってると上機嫌!!)
佐々木(ウインナーは紅で染まってるものより地味で茶色いものを茹でよりも焼きで仕上げ)
ハルヒ(野菜は弁当に入ると生暖かくなるから苦手!!)
佐々木(特にトマトとレタスが水気でぐちゃぐちゃになってるのは厳禁!!)
ハルヒ(そして最後にきな粉餅とコーヒーがあれば完璧!!!)
 
………………………。
 
ハルヒ・佐々木「…もろ被りっ!!!!!!!!!」
 
ハルヒ(思わず声が出ちゃったわ…なんでよ?なんでなのよ!?)
佐々木(おかしいじゃないか!?)
ハルヒ(キョンの食の好みに関してはあたしがキョンの弁当を毎日覗き見て…)
佐々木(綿密に細かくデータを重ねに重ねた上で…)
ハルヒ(更にキョンのお母様にまでこっそりとリサーチを入れて…)
佐々木(且つ、キョンの意見をさりげなく聞き出す事で…
ハルヒ(キョンの微妙な好みまでをも取り入れ、分析、研究を継続した結果、)
 
ハルヒ・佐々木(完成したのがこのお弁当のはず!!!!)
 
キョン「お前ら二人の弁当、レイアウトがそっくり…と言うか全く一緒だな」
 
ハルヒ(認識を改めるわ…さすがね、佐々木さん…)
佐々木(やはりこの高みにまで登り詰めてきたんだね、涼宮さん…)
 
キョン「なんだ?二人で一緒に弁当作ってきたのか?」
ハルヒ・佐々木(んな訳ないでしょうがっ!!)
キョン「おぉ!!ハルヒと佐々木の弁当、俺の好きなもんばっかりだよ」
ハルヒ・佐々木(当たり前!!!)
 
ハルヒ(この際、仕方が無いわ…)
佐々木(やはり勝負は味とアイデアによるオリジナリティ…)
 
ハルヒ「キョン、はい、これ」佐々木「これ、使うかい?」
 
ハルヒ(我が家に唯一ある漆塗りの箸よ!!)
佐々木(くっくっ…僕はあえて、いつも自分が家で使用している箸を持って来たよ…)
ハルヒ・佐々木(つまりこれは間接キス!!
これからこの箸はプレミア付きの私専用の箸へと格上げされるのよ!!)
 
キョン「あ、いや、妹の弁当に箸付いてるから大丈夫だ」
 
ハルヒ・佐々木(あのブラコンの妹めぇぇええぇぇええぇ~~~~!!!!!)
 
ハルヒ(許すまじ、妹ちゃん!!)
佐々木(おのれ、妹!!いつか弁当にピーマン詰め込んで差し上げようか!?)
ハルヒ(大体、キョンと一つ屋根の下で暮らしているという最高の環境に加え、)
佐々木(あまつさえ、奴はキョンの寝起きを覚ます役まで担っていると聞く…)
ハルヒ・佐々木(キョンの寝起き顔という特典だけじゃ飽き足らぬのか!?)
 
キョン「これ、うまいな」
ハルヒ(どっち!?)
佐々木(今、どっちのお弁当食べた!?)
 
長門「……そう、美味」九曜「――(ムシャムシャ)」
ハルヒ・佐々木(あなた達はさっきから食べ過ぎなのよ!!)
 
橘「佐々木さんはさすがなのです!」
ハルヒ・佐々木(いつの間に戦線復帰してたの!?橘さん!!)
 
みくる「私もお料理のお勉強しようかなぁ~?」
ハルヒ・佐々木(何を締まりの無い顔してんのよ!?キョン!!)
 
ハルヒ(くっ…この闘い…)
佐々木(バトルロワイヤルはライバルが多過ぎる…)
ハルヒ(かくなる上は…佐々木さん!!)
佐々木(是非も無し…涼宮さん!!)
 
共闘!!
 
ハルヒ・佐々木(ランチタイム限定の連合軍で徹底的に掃除してやるわ!!)
 
ハルヒ(闘いにおいてまず狙うべきは穴…
これは漫画『SLAMDUNK』において常勝軍団・海南高校キャプテン牧紳一も語っていた事…)
佐々木(その上で、弱点の重要度が最も高いポイントを攻めるべき…)
ハルヒ(この中で最も狙いを定め易く、)
佐々木(且つ、キョンの表情を見ている限り、最大の障壁となり得る人物…)
 
ハルヒ・佐々木(朝比奈みくる!!!!!!)
 
ハルヒ「みくるちゃんはあまりお料理とかはしないの?」
 
佐々木(素晴らしい先制攻撃だね、涼宮さん!!)
ハルヒ(まずは相対的に優位に立つ事が先決…)
佐々木(百獣の王ライオンはどんなに小さな獲物でも
まずは少しずつ弱らせてから刈り取ると言う…)
  
みくる「いつも焦がしちゃったり、お皿ひっくり返しちゃったりしちゃうんです、エへ♪」
ハルヒ(さすが、あたしが鍛え上げた見事なドジっ子っぷりだけど、
今はそれが裏目に出るのよ、みくるちゃん!!)
  
藤原「そりゃ人として駄目だな」
ハルヒ(ナイス援軍!!)
佐々木(普段は少しばかり鼻につく輩だが今日は良い仕事をするじゃないか!?)
  
キョン「じゃあ、ハルヒにでも習えば良いんじゃないんですか?」
ハルヒ・佐々木(少し黙ってなさい!!)
  
佐々木「まぁ、料理には個人のセンスというものもあるからね。
習えば誰にでも出来るようになるという代物でも無いという事は理解してくれたまえ」
  
ハルヒ(素晴らしい追撃よ、佐々木さん!!)
佐々木(くっくっ…まずは第一関門撃破!!更にこの流れを利用して…)
  
佐々木「橘さんは料理をする機会というのはあるのかい?」
橘「えっ!?それが私は全く駄目なのです…。
小学生の頃、家庭科の調理実習でカレーを作ったのですが、
包丁が折れて、炊飯器が爆発して、更にルーがピンク色になっちゃって…
中学生の頃、バレンタインにチョコあげた時もそれを食べた人が皆、
救急車で運ばれて新聞に集団食中毒発生って載っちゃったのです…」
  
佐々木(とんだ義理チョコ!!何なの!?それ!!)
ハルヒ(むしろ、そっちの方が凄いわ!!)
  
橘「…でも、食べるのは大好きなのです!!」
キョン「お前…絶対、嫁に行けないな…」
  
ハルヒ(そう!そういうコメントを待っていたわ!キョン!)
佐々木(くっくっ…風が吹いてきているね…しかし、残ったラスボスは強敵だよ…)
ハルヒ(どちらも一筋縄ではいかないタイプね…)
  
長門有希!!周防九曜!!
  
さっきから宇宙人二人はとんでもないハイペースで凄い量を食べ続けてる…
そしてハルヒと佐々木は妙に明るくよく喋る…まぁ、自分が作った料理を
皆が『うまい』と言いながら食ってくれればそりゃ嬉しいもんなんだろうな。
  
古泉「涼宮さんの料理はさすがですね」
橘「佐々木さんだって負けていないのです!」
キョン「森さんのもうまいぞ」
  
ハルヒ・佐々木(あぁん!?)
キョン(うっ…なんでハルヒと佐々木は俺を睨んでるんだ?)
  
ハルヒ(この戦場にいない者を相手にしつつ…)
佐々木(あの何を考えているのかさっぱり見当もつかない二人をこなすのは至難の技…)
ハルヒ(しかし、あの二人はひたすらに食べているだけ…)
佐々木(ここからは私達が攻勢に出る事によって絶対的優位に立ち…
ハルヒ・佐々木(私達と私達の弁当以外をキョンの視界の外へと追いやる!!)
  
佐々木「しかし、キョン。妹さんは弁当まで作ってくれるなんて未だに君にべったりなんだね。
兄妹仲が良いのは素晴らしい事だと思うけど、将来が心配にもなるね」
 
ハルヒ(まずはそこから行くのね…佐々木さん)
 
キョン「あぁ、未だに俺の事をキョンと呼び続けてるからな。兄っていう感覚が無いのかな」
ハルヒ「変な方向に走らなきゃ良いけどね。妹萌えはさすがに危険過ぎるわよ」
キョン「よしてくれ。俺にそんな変な気はない」
ハルヒ「そうかしら。いつも『あ~んして♪』とか言って
妹さんに食べさせてもらったりしてるんじゃないの?」
佐々木「くっくっ、目に浮かぶようだよ。実に惚けた顔でキョンが口を開けている様がね」
キョン「からかわんでくれ。そんな事はせんし、そこまで間抜け面でもない。
すまんが卵焼き取ってくれ。どっちのでも良いぞ」
 
ハルヒ・佐々木(くっくっくっ…)
 
ハルヒ・佐々木「はい、あ~ん♪」
 
ブホッ!!焼きそばが鼻に入った!!
キョン「何しやがるっ!?」
ハルヒ「あら?卵焼き取ってって言うから取ってあげたんじゃない?」
佐々木「それに箸渡しは見苦しいマナーとして厳禁だよ、キョン」
 
ハルヒ(妹ちゃんを視野の外に追い出しつつ…)
佐々木(『あ~ん♪』したキョンの舌にノルマンディー上陸作戦!!)
ハルヒ・佐々木(実に自然な流れで成功!!)
 
何をニヤニヤしてやがる、古泉!?笑わないで下さい、朝比奈さん…
そして、ゴキブリに向けられるような蔑んだ目で俺を見るな、藤原、橘!!
 
キョン「恥ずかしいから遠くてもやっぱ自分で取る!!」
 
その瞬間、上手く掴めずにキョンのピンク色の可愛い箸の先から零れ落ちた卵焼きを
上空から風を切り裂き、素早い動作で獲物をかっさらう鷹の爪の如く、別の箸が卵焼きを掴み、
キョンの口元へと突き出された――――
 
キョン「全く…お前ら全員して俺をからかってんだろ?やめろよなって…」
パクッ!!
  
ハルヒ(食べやがった!!)
佐々木(なんでよ!?キョン!!)
ハルヒ(完全に油断していたわ…まさか…)
佐々木(まさか…僕達より先にキョンの舌の上に上陸する者が現れるとは…)
ハルヒ(やはり、油断ならぬ強敵…)
佐々木(一刻も早く全力を持って潰しておくべきだった…)
  
ハルヒ・佐々木(許すまじ!!長門有希!!!!!!!!)
 
佐々木(この際、周防さんは保留…)
ハルヒ(森さんのお弁当も美味しいけれども、キョンの好みで構成されている訳ではない…)
佐々木(やはり、身近にして最大最強の敵…)
ハルヒ(さりげない仕草で易々と前線に回り込み…)
佐々木(先駆け一番乗りで大将首を打ち取ろうとせん相手…)
 
ハルヒ・佐々木(長門有希攻略がランチタイム大戦争の本丸!!)
 
キョン「おい、ハルヒ、佐々木。なんでお前ら二人ともさっきから
指でブチブチ、芝生を刈り取ってんだ?」
ハルヒ・佐々木(…誰のせいだと思ってんのよ!?)
 
ハルヒ「有希って結構、食べるけど痩せてるわよね?何か良いダイエット法でも知ってるの?」
長門「…私は食事を取らなくても平気。でも美味しいものを食すのは嫌いではない。
 脂肪分などによって特に贅肉が付くと言う事も体質上、有り得ない」
 
ハルヒ・佐々木(こいつ!!美を求める全ての女を敵に回したわ!!)
 
みくる「羨ましいです~。私、最近食べ過ぎなのか体重が増えてきちゃって…」
ハルヒ・佐々木(あなたは全部、おっぱいに吸い寄せられてるから問題無し!!)
橘「私はもうちょっと付けたいのです…」
ハルヒ・佐々木(確かにあなたは実に残念な状態ね…)
  
佐々木「でも、女性というのはある程度、脂肪を残しておいた方が良いのだよ。
痩せ過ぎていると健康にも悪影響だしね」
ハルヒ「その方が肉感的で魅力的にも映るわね」
佐々木「過度のダイエットを要求する昨今の風潮にはあまり支持する事は出来ないな」
藤原「俺も痩せてる女よりはぽっちゃり目が好きだな」
ハルヒ・佐々木(あんたの趣味なんざ聞いてない!!)
ハルヒ「でも有希はもうちょっとだけでも脂肪付けた方が良いんじゃないかしら?
例えば、こことか…ある程度の大きさがあった方が良いと思うわね」
 
佐々木(そう!そこはいわば女性のステータス!
そして実はキョンが一番大好きなパーツでもある!さすが涼宮さん、攻め所を知ってる!)
長門「…例えば?」
 
た…例えば?
 
ハルヒ(そんなの例えを出す訳にはいかないわよ!!)
佐々木(具体的且つ、利用価値の高い答えはあるもののその答えは…)
ハルヒ(そんな事をキョンの前で口に出した日には…)
佐々木(キャラ崩壊!!)
ハルヒ(イメージぶち壊し!!)
 
ハルヒ「た、例えば、そうね…キョン!!何か良い例え無い?」
佐々木「そうだね。ここは男性陣の意見も伺っておきたい所だ」
 
なんで俺に!?と言うか、そんな事言える訳ないだろ!?
 
キョン「そうだな、古泉。お前、何か無いか?」
古泉「う~ん、おしゃっている事の意味がよく分かりません」
 
キョン(逃げやがった!!)
古泉(すみません、僕に対する皆さんのイメージと言うものがありますもので…)
  
キョン「藤原さんは?」
藤原「あぁん?そんなの男が女を抱…ゴフッ!!」
ハルヒ・佐々木(それ以上、喋んな!!)
キョン「ま、まぁ、無いよりは有る方が良いという所じゃないか?大は小を兼ねるってな…」
ハルヒ・佐々木(要はキョンはただのおっぱい星人という見方も出来るけどこの際、許すわ…)
 
ハルヒ「じゃあ、キョンは小さいよりは大きい方が好きと言う事ね」
佐々木「統計としては大きさより形とバランスを重視すべきだと思うな。
その方が人体に対する悪影響も少ない」
  
ハルヒ(連合軍は解消よ、佐々木さん!!)
佐々木(ここからまた君との一騎打ちが始まるんだね、涼宮さん!!)
  
こいつらはさっきから何の話をしてるんだ?
食事中におっぱいの話で盛り上がる美女二人なんて
それはそれで、煮えたぎる堪らないものもあるにはあるが……
やっぱり、今日のこの二人はおかしい…
 
ハルヒと佐々木の弁当に偶然、好物が満載されていたせいで今日はちょっと食い過ぎた…
しかも最後まで、きな粉餅とコーヒーという最高の組み合わせが目の前にあっては
逃がす事は出来ない、今日は食事運が最高だな。別腹だ、こんなもん。
 
ハルヒ(やはりキョンはあたしの生姜焼きをタレまで食べ尽くしたわ…)
佐々木(くっくっ…甘い…砂糖を入れ過ぎた卵焼きのように甘いね、
焼きそばの消費量に関しては僕の方が断然、上さ…)
ハルヒ(卵焼きは同数ね…)
佐々木(きな粉餅もイーヴンのようだ…)
 
ハルヒ・佐々木(やはり午後からの後半戦が勝負の分かれ目!!)
 
~To be continued

最終決戦

やれやれ…なんでまた午前と同じ組み合わせなんだよ…。
あと、二人ともそんなに引っ張らないでくれ。
昼飯が全部、津波のように逆流して頭に降り注いでくるぞ。
 
ハルヒ(実は今日、遊園地を選んだ最大の理由は…)
佐々木(くっくっ…その点はすでに調査済みさ…)
 
世界の猫・博覧会!!!
 
ハルヒ(女の子と可愛い猫達が戯れる…)
佐々木(意外な可愛らしさのギャップをさらけ出せる理想の空間…)
ハルヒ(男の本能をくすぐる萌え要素が詰め込まれている…)
佐々木(猫の可愛さとの相乗効果で魅力UP!!)
 
キョン「猫?別にうちはシャミセン飼ってるしな…」
 
ハルヒ・佐々木(いいから来る!!)
 
ハルヒ「あら?雄の三毛猫ですって!」
佐々木「知ってるかい?キョン。雄の三毛猫というのは非常に珍しくて…」
キョン「うちのシャミセンも雄の三毛だぞ…」
 
ハルヒ(なんで!?まるで興味を示さない…)
佐々木(何なの?この冷めた空気…)
ハルヒ(キョンって猫飼ってるのに猫嫌い!?)
佐々木(犬派!?)
 
キョン「…フンッ」
 
ハルヒ・佐々木(は、鼻で笑った…なんで!?)
 
キョン「うちのシャミの方が毛並みが綺麗だ…」
 
ハルヒ・佐々木(ライバル心、剥き出し!!!!)
ハルヒ(ひょっとして、これが噂の…)
佐々木(かの有名な『うちの猫ちゃんが一番可愛いのよ』症候群!!)
ハルヒ(まさか、シャミセン、あんたまで敵に回るとは!?)
佐々木(キョンっていつから猫好きになったのよ!?)
ハルヒ(しか~し、あたしには俄然有利な状況…
シャミセンを知らない佐々木さんには実に不利な状況ね、フフ…)
 
ハルヒ「確かにシャミセンは毛並みが綺麗で可愛いわね」
佐々木「へぇ~。今度そのシャミセンとやらに会わせて欲しいな。どんな所が可愛いんだい?」
ハルヒ(上手く会話に食い込んできたわね!!)
佐々木(主導権を独り占めしようったってそうはいかないよ!!)
ハルヒ(しかもさりげなく、猫目当てと称して家に上がり込もうという魂胆も丸見え!!)
 
キョン「そうか!!知りたいか!?うちのシャミセンの可愛い所はだな…」

ハルヒ(もう嫌…)
佐々木(この無駄に熱い猫談義、いつまで聞いてれば良いの…?)
ハルヒ(かれこれ1時間以上は続いてる…)
佐々木(こんなに喋るキョン、初めて見た…)
ハルヒ(その関心と愛情を一欠片だけでも良いから少しはこっちに向けて…)
 
キョン「いいか!?二人ともよく聞け!!
ここから話すのがシャミセンの一番、可愛いポイントだ!!
ちょっと話が長くなるかもしれんが…」
 
ハルヒ・佐々木(…もう嫌)
 
ハルヒ(誰か虎かライオン連れて来て…)
佐々木(ネコ科の恐ろしさを叩き込んでやりたい…)
ハルヒ(ここは一気に状況を打開しなくちゃ!!)
 
ハルヒ「ねぇ、キョン!!ゴーカートやりましょ!!」
 
佐々木(くっくっ、そういう事か…)
ハルヒ(さすが、佐々木さんも気付いているようね…)
 
キョン「おう!!で、シャミセンの尻尾にはだな…」
ハルヒ・佐々木「ゴーカート!!」
 
ハルヒと佐々木に無理矢理、引っ張られた俺は佐々木が聞きたがっていた
シャミセンの可愛いポイントをたっぷりアピール出来る時間を失ってしまった。
せっかくここからが本番だったのに…
しかし、ゴーカートなんて女がやっている所をあまり見た事がないな。偏見か?
 
ハルヒ「さっ!キョン、ゴーカートに乗りなさい!!」
キョン「はぁ!?」
佐々木「さっさと乗りたまえ、キョン。5周くらいがちょうど良いんじゃないかい?」
キョン「ちょっと待て!!俺だけか?お前らも乗るんじゃないのか?」
ハルヒ「私達が乗っても意味無いのよ!!」
佐々木「そっ!キョン、君が運転してくれないとね」
 
ハルヒと佐々木に無理矢理、ゴーカートに押し込められた俺は
こけしのようにヘルメットをねじ込まれて信号が青に変わるのを待っている。
…ったく、意味が分からん。ゴーカートを一人で走って何が楽しいんだ?
 
ハルヒ(性の伝道師・杉本彩、曰く…)
佐々木(車の運転が上手い男は…)
ハルヒ(あっちの方も上手い!!)
佐々木(つまりこのゴーカートは…)
ハルヒ(これまでのセクションとは違い…)
佐々木(アピールポイントではなく…)
 
ハルヒ・佐々木(キョン!!あなたに対するチェックポイントなのよ!!!)
 
何か今、背筋がゾクッとした…凄い嫌な予感がする…何これ?
 
そういや、ゴーカートやるのって小学生以来だな…
古泉「おや?これはまた奇遇ですね」
うぉ!?古泉か!?
藤原「ふん、随分とアナログな機械だ」
そう言いながら藤原さん、レーシングースーツまで来てノリノリ!!
長門「…天候は晴れ。エンジン回転数、解析終了。コース解析開始」
長門まで!?皆、そんなにゴーカートが好きなのか?
 
ハルヒ(なんで有希がいるのかは分からないけど、これはちょうど良いわ…)
佐々木(比較対象が存在する事でキョンの実力を相対的に認知出来る…)
ハルヒ・佐々木(さぁ!!気張りなさい、キョン!!)
  
ピッ、ピッ、ピッ、ピーー!!!!
ドカンッ!!!
 
ハルヒ・佐々木(キョンがクラッシュで出遅れた!!)
キョン「な、いきなり何しやがんだ!?」
古泉「おや?これは失礼…」
藤原「ちょっとハンドルの調子が悪いようだ…」
 
古泉(ニヤニヤが止まりませんよ…)
藤原(これでまず一人蹴落とす事に成功…)
古泉(彼には普段からゲームで屈辱的な敗北を喫していますからね…)
藤原(男としてゴーカートだけは負けられん!!)
 
キョン「くそっ…俺のマリオカートで鍛えたドライビングテクニック!!
お前らに見せつけてやろうじゃねぇか!!」
 
ハルヒ(今の所、トップは有希)
佐々木(肝心のキョンは…)
ハルヒ・佐々木(2位争いの二人にも大きく離されて、ダントツ最下位!!)
 
みくる「キョンくん、頑張って下さ~い♪」
 
ハルヒ(本当に頑張りなさいよ!!)
佐々木(このままじゃある意味、EDだね…)
 
藤原「ふん、どうあっても道を譲らない気か!?」
古泉「こちらにもどうしても負けられない事情というものがありまして…」
藤原「事情か…」
古泉「えぇ、事情です…プライドがかかっているんですよ!!」
藤原(ふん、貴様如きの戦略なんざとっくにお見通しだ…)
古泉(なかなかやるようですが、どんな手を使ってでも勝ちますよ…)
 
佐々木(藤原さん、コーナーで外から仕掛ける!!)
ハルヒ(しかし、古泉君抑える!!)
佐々木(なんて高度な闘い!!)
ハルヒ(これは92年F1モナコGP…)
ハルヒ・佐々木(セナvsマンセルの再現!?)
 
キョン「待てや、お前らぁぁああぁぁあぁ~~~~~!!!!!」
ハルヒ・佐々木「キョン!!!」
 
ハルヒ(まさか、あそこからキョンが追い上げてくるなんて…)
佐々木(この三つ巴の闘いは…)
ハルヒ(F1史上最大の奇跡の逆転劇と称される…)
佐々木(07シーズン最終戦ブラジルGP…)
ハルヒ・佐々木(ハミルトンvsアロンソvsライコネン!!!)
 
キョン「追いついたぞ、お前ら…前にまだ長門もいるからな…一気にいかせてもらうぞ!!」
古泉「まさかここまで追い上げてくるとは…しかし、行かせませんよ!!」
藤原「ふん、お前らの好きにはさせん!!」
 
ハルヒ(残り一周!!)
佐々木(二位争いは熾烈を極めている…)
ハルヒ(しかも3人とも有希との差を詰めていつでも仕掛けられるポジション…)
佐々木(ここからは僅かなミスも許されない領域!!)
 
長門「…私には万に一つもミスは起こり得ない」
 
ハルヒ・佐々木「こ、これは!?4人が並んだ!!!」
 
キョン「いいか?長門。お前にもな、最近、僅かながらではあるが
感情というものが芽生え始めている…それは俺達SOS団の人間にとっては
とても嬉しい事でもあるんだ…しかし!!レースにおいて感情とは
マシーン以上にコントロールが困難なもの!!
感情のコントロールが出来ず暴走してしまった過去から
お前の心には隙が生じている!!それが長門、お前の敗因だ!!」
 
ハルヒ・佐々木「キョン!!!キョンがトップに躍り出…」
 
キョン「おぇっぷ…」
 
ハルヒ(嘘…)
佐々木(車酔い!?)
ハルヒ(お昼、がっついてたから…)
佐々木(胃袋のコントロールが出来ていないね…キョン)
 
結局、俺は気持ち悪さに耐え切れずにリタイアしてしまった…
1位長門、2位古泉、3位藤原さん。
ハルヒと佐々木が哀れむような目で俺を見下ろしている…
 
ハルヒ(クラッシュでもないのにリタイアなんて…)
佐々木(ゴール手前で果ててしまうだなんて…)
 
ハルヒ・佐々木(男として失格!!!)
 
ハルヒ(でも…)
佐々木(最後の追い上げは凄かった…)
ハルヒ(やる時はやるのね、キョン…)
佐々木(努力は認めるよ、キョン…)
 
キョン「もう大丈夫だ。水飲んだら収まった…」
佐々木「本当に大丈夫かい?キョン」(さぁ、膝枕はこっちだよ、キョン!!)
ハルヒ「キョンは時々、無茶するからね!」(こっちの方が寝心地抜群よ、キョン!!)
 
さて、次はこの二人のお転婆なお姫様達にどこへ引っ張り回されるのやら…
 
古泉「すみません、ゴーカートではつい熱くなってしまいました」
キョン「次は無いからな」
古泉「はい、ちゃんとお詫びはします」
キョン「じゃあ、古泉。正直、この二人を相手に一人で闘うのは身体が保たない。
頼むから次はお前らと一緒に全員で行動させてくれ」
古泉「それで良いんですか?せっかくのチャンスだというのに…」
何のチャンスだ?むしろ罰ゲームだ!!
古泉「これから忍者屋敷に向かう予定なのですが、構いませんか?」
 
忍者屋敷と言っても遊園地、隠し扉があるような迷路に近いものだった。
ここならまったりと歩いてるだけでいいから何の問題も起こらないだろう。
やれやれ…やっと楽になれる…これまでのアトラクションに比べたら難易度Cランクだ。
 
カッキーン!!!
 
何ですと!?手裏剣!!
 
九曜「――」
長門「……」
 
あの宇宙人二人組!!何やってやがる!?
 
キョン「おい、何やってんだ!?長門!!」
長門「…これは情報統合思念体と天蓋領域との闘い。危険だから離れていて」
 
なんで遊園地の忍者屋敷で宇宙戦争おっ始めてるんだよ!?
 
長門「……私のアイスクリームにあの長い毛髪が触れた。これでは衛生的に食す事は出来ない」
九曜「――髪の毛――汚れた」
 
そんな下らない事で喧嘩するんじゃありません!!!
 
やれやれ…やっと夕方か…あと一つくらいでもう今日は終わりだな…疲れた。
ハルヒ「ねぇ!!最後にもう一回観覧車乗らない?」
佐々木「綺麗な夕陽が沈む景色を眺めるというのもオツなものだね」
キョン「あぁ、良いぞ…」
 
ハルヒ(観覧車は時間帯によって全く違う乗り物となる…)
佐々木(理想を言えば夜景を見ながら二人っきりだが…)
ハルヒ(今日は楽しかったね♪なんて喋りながら…)
佐々木(そっと肩にもたれかかり…)
 
ハルヒ・佐々木(口づけを交わす二人!!!)
 
ハルヒ(でも、今日は皆で来ているから…)
佐々木(そういう訳にはいかない…)
ハルヒ(だから夕陽に染まったガラス越しに…)
佐々木(切なそうな横顔を演出して…)
ハルヒ・佐々木(キョンの脳裏に印象だけでも叩き込む!!!)
 
観覧車はゆっくりと登り始めた…夕陽が眩しい
あぁ~…今日は本当に疲れた…うちに帰ったらぐっすりだな…。
二人ともさすがに疲れたのか、ようやく静かになってくれた。
さっきからずっと外を見てるが、お前ら眩しくないのか?
 
キョン「今日は本当に疲れた…もう堪らん」
ハルヒ「何?楽しくなかったの?あたしの企画に不満でもある訳?」
キョン「いや、そういう訳じゃないんだがな、何だか色んなものに振り回された…」
ハルヒ「じゃあ、素直に楽しかったって言えば良いじゃない!?」
佐々木「そうだね」
キョン「そんなに大声で怒鳴るなよ…まぁ、楽しかったよ」
ハルヒ「まぁって何よ!?まぁって!!」
キョン「そんなに突っかかってくるなよ…楽しかったって」
ハルヒ「何よ、その仕方無しみたいな言い草!?
大体、最初に突っかかってきたのは、キョン!!あんたでしょ!?」
最後の最後で何なんだよ、こいつは…もう無視だ、無視。
 
観覧車の下りは3人とも無言で実に気まずい空間になっちまった…
やばい…謝るタイミングを失っちまった…
観覧車が終わるとハルヒはドカドカと一人で出て行った…
 
ハルヒ「あたし、もう帰る…1人でも大丈夫だから、じゃあね」
 
お、おい!!ハルヒ!!相変わらずなんて勝手に奴だ…
 
その時、古泉が鋭い目線で俺の肩を強く握り締めてきた。
古泉「観覧車の中で何があったのかは知りませんが、これは高く付きますよ」
だから、俺は…
佐々木「キョン!!!」
キョン「何だ?佐々木」
佐々木「良いかい、キョン。僕はね、いや僕だけではなく、涼宮さんもだが、
色々と思う所もあって今日の為に様々な事柄を練りに練ってきたのだよ。
思い通りにいかない部分も多々ありはしたが、それは決して誰かを
不快にさせようという気持ちでやった事じゃない。
ただキョン、君を、そして何より、皆が単純に楽しめれば良いと思って
この遊園地に来たのさ。皆も心の中では単純には割り切れない関係なのかもしれないが、
今日一日だけは皆で高校生として遊園地で楽しく遊びたかっただけなのさ」
キョン「そりゃ俺もそうだが…」
古泉「どうやら、僕はちょっと緊急のバイトが入ってしまったようです…お先に失礼します」
すまん…古泉。
佐々木「さぁ、キョンも行きなよ!!」
キョン「いや、でもお前らは…」
佐々木「くっくっ…僕はね、今日一日で結構、色々とあの手この手を尽くしてきたのだが
何も涼宮さんとキョン、君との間を引き裂こうってつもりは毛頭ないんだ。
それは僕のポリシーにも反するしね」
キョン「どういう意味だ?さっぱり分からん…」
佐々木「あくまで君と僕との間の関係を強くしようというもので
キョンと涼宮さんを仲違いさせたい訳ではないという事さ。
さっ!早く走って行きたまえ!!
今、何をやるべきなのかくらいはいくら鈍感な君でもさすがに分かるだろ?」
 
わかったよ…やれやれ…。
 
その後、俺はハルヒに殴られ、蹴られ、爪で引っ掛かられはしたが、
何とか許して貰えたのだろうか?
団長様を家まで送り届ける権利を頂いた。
 
やれやれ…ハルヒ、今日は楽しかったよ…ありがとな――――
 
The End

「涼宮ハルヒの憂鬱」の名称、画像、その他の著作権は、谷川流、いとうのいぢ、SOS団、角川書店、京都アニメーション、その他それぞれにあります。
また、SS、AA、画像の著作権も、それぞれの作者に帰属します。
問題がある場合には、pokka_star(アットマーク)hotmail.comまで、ご連絡下さい。可能な限り対処致します。
Last Update 2009/11/10
haruhi-ss 俺ベスト(おれべす)
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