迂濶にも部室に忘れ物をし、俺は今本日2度目の登校をしている。
坂を降りきる前に気付いたのはせめてもの救いだった。
部室の前に着くと、中からハルヒが少し控え目な音量で喋る声が聞こえてきた。
まだいたのか…
しかし部室にはハルヒしかいないはずだよな
俺は中から聞こえてくる声に聞耳をたててみた。断っておくが盗聴の趣味は無い
「似合ってるぞハルヒ」
ん?それはいつぞやに俺がハルヒに言った言葉?
そっと覗いてみると、ハルヒは鏡の前に座り、さっきまでは下ろしていた髪はポニーテールになっていた。
「似合ってるぞハルヒ」
また言ってる…
しかも少し俺のモノマネが入っているのか、声を低めに出してる…
ハルヒはニヤニヤしながら顔を両手で覆っている。
その時の俺はもう忘れ物はどうでもよくなっていた。
やれやれ…明日本物を聞かせてやるか。
俺はハルヒにメールを送りながら家路についた。
『そろそろお前のポニーテールが見たくなってきたんだが』と。 |