「キョン、ちょっと頼みたいことがあんのよ」
「お前が真剣な顔で頼みごととはまた珍しいこともあったもんだな。何だ? できる限りは聞こうじゃないか」
「スイッチを切り替える手伝いをしてもらいたいの」
「……はい? すまんがよく意味がわからん。この教室の明かりでもつければいいのか?」
「そうね、あんたに判るように順を追って説明するわ。あたしが切り替えたいのはペルソナのスイッチよ」
「ペルソナって言うと、『ぺぺぺぺぺー!』とか『集中』後に『混乱』のあれか?」
「それも本来の意味のペルソナに絡めたギミックね。心理学とかで使われてるほうの意味は知ってる?」
「それは確か……相手や状況で使い分ける自分の一面ってやつだろ。しかしそれを切り替えるのに俺が何かする必要があるのかが判らん」
「あんたにも関係するのよ。それにそうね、切り替えたらあんたの扱いが変わるわ」
「どんな具合に」
「もうちょっと日常に干渉することが増えるかしらね。これまでよりも我慢しなくなるはずよ」
「なんだそりゃ。俺にメリットないんじゃないか」
「ないとは限らないわよ。むしろないはずがないわ。いいから協力なさい」
「へいへい、まあいいさ。で、どうやったらそのスイッチが切り替わるんだ」
「あたしの質問に特定の意味の言葉で答えればいいの」
「……俺はそんな妙なキーワードなど知らんぞ?」
「いいから。そんじゃあ質問行くわよ。きっちり答えなさい」
「好きです。あたしと付き合ってください」 |