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お前がいるから
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何かこの頃キョンがやけにモテてる気がする。キョンのくせに。
朝、あたしに適当に挨拶。
そのくせ阪中さんとかにはちゃんと返事してる。
よし、今日はキョンを観察することに決定。
あんまりデレデレしてるようなら風紀を乱した罰として後で何かおごらせよう。
キョンの奴意外に女子に人気あるみたい。
あんなののどこがいいのかしら。
「キョンくんってなんか頼りになるよねー」
どこがよ、あんなバカキョン。
教室移動のときにみくるちゃんと鶴屋さんに会った。
みくるちゃんはともかく鶴屋さんもなんか近い。
「勘弁してくださいよ、鶴屋さん」
「もうすこし反応してくれないとお姉さん寂しいなっ。ウエイトレスの時もいまいちだったし…これでもそこそこあるんだよっ」
と言って、キョンの腕に抱きついて胸を押し付けた。
「っと、わかりましたから離れてください」
「もう、キョンくんは照れ屋だねっ」
すぐに離れたのはいいけど顔がにやけてる…と思う。エロキョン。
放課後の活動中。
キョンは有希に優しい。
そりゃ有希はいい子だし守ってあげたいのはわかるけど、あたしのときと違いすぎるって言うか…。
別にあたしに優しくして欲しいとかそんなんじゃないけど。
活動終了後、まだ油断は出来ない。
「今日はあんたの家まで行くから」
「なんでだ?」
「えーと、…勉強見てあげる!」
「…?まあいいけど」
「おや。キョンに涼宮さんじゃないか。こんにちは、いやこんばんわと言ったほうが正しいかな?」
「奇遇だな、佐々木」
「くっくっ、あまり偶然にも思えないけれどね。仲が良くて結構だね、二人とも」
「別にそういうわけじゃ…」
しばらく二人は話してた。あたしはなんとなく入り込めなくてずっと黙ってた。
「それじゃあ僕はこれで。…あとキョン、あまり連れを放っておくものではないよ。良い夜を」
「じゃあな。…なあハルヒ、なんだか大人しかったな、お前」
「…別に」
なにかムカついたというよりモヤモヤして、きゅーってなってた。
「おかえりなさい!キョンくーん!あ!ハルにゃんもいっしょだー」
妹ちゃんは今日も元気。いつみても可愛いわね。キョンとは大違い。
「あ!これ、美代ちゃんから。今日の家庭科の時間に作ったのー」
「クッキー?まあありがたく頂いとくよ」
誰だろ、でも女だと思う。妹ちゃんの友達?だったら…ロリコンめ。
「なんかモテモテよね、あんた」
「は?どこがだよ。俺みたいな普通の奴がそう簡単にモテるわけないだろ」
「だって今日何人も言い寄られてたじゃない!」
「あんなの普通だろうが」
「普通じゃないわよ!だってだって…」
「話してただけだろ?それにホントにモテてたって付き合ったりはしない。お前がいるからな」
「…ふぇ?」
なんか、いま、キョンが、とんでもないこと、言った気が。
「お前の面倒みてたらとてもじゃないが誰かと付き合うなんてできそうもないからな。しょうがないだろ」
「な、なんだ…って面倒ってどういう意味よ!面倒見てあげてるのはあたしでしょ!」
「あのな、俺がどれだけ苦労してると…」
「あたしだって…」
そのままちょっとケンカしてしまった。お互いに疲れた頃。
「もういい!今日は帰る!」
キョンの家を飛び出した帰り道、さっきのことを思い出す。
『お前がいるから』だって、何かっこつけてるんだか。別にかっこよくなんてないし。
キョンはバカキョンかもしれないけど、エロキョンじゃないみたい。
でもあいつだって男なんだし、なんかムラムラとかするかもしれない。
そのとき近くに女の子がいたら危険ね。一応メールしておいたほうがいいかも。
『他の子に手を出したらダメだからね!もし我慢できなくなったらあたしに連絡すること!」
これで良し!
翌日、キョンはなぜか顔を赤くしながらあたしと目を合わせようとしなかった。なんでだろ? |
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