「はい…ああ…本当か?わかったすぐ行く」
急いで言われた場所に向かう。
「お!来た来た。こっちだ。おーい!」
酔っ払いの集団発見。大学生とは言え少しは自重しろよ。いや大学生だからはっちゃけてるのか?
「ほら、お前のとこの嫁だぞ。大事にしてやれよ」
誰が誰の嫁だ。指差す方向を見るとハルヒがふらふらとこちらに歩いてきていた。
「大丈夫か?」
「んー。らいじょうぶ」
もう酒は飲まない宣言はどこいったんだか。まあ俺のせいなんだけどな。
どうしても、と参加を頼まれた飲み会にどうしてもはずせない急な都合が入り行けなくなった。そこへ「じゃああたしが代わりに行く!」と言い出したのがハルヒだ。
わりとマジに止めたのだが「あんたの不手際だからあたしが落とし前つける。問題ないでしょ。あ、貸しは1だからね」と行ってしまったというわけだ。
送ろうかと思ったが俺のアパートが近いのでそっちに連れて行こう。泊まるのが始めてという訳ではないしな。
いや、何もしてないぜ?ハルヒが急にきて勝手に泊まっていったのが何回かあるだけでな…。
なんていう言い訳を誰かにしつつ、大学進学にあたって一人暮らしを始めたアパートに到着。
「ほら水だ。落ち着いたらおとなしく寝とけ」
ハルヒの衣服に乱れたところはない。酔ったとはいえ何もなかったようで一安心。いや一般的に女性の心配をするのは当たり前だからだ。
どうもハルヒはまともに動けないようで座り込んだままだった。
仕方なく抱えてやる。俗に言うお姫様抱っこだ。
酒のせいかハルヒの体温は高く、酒に酔ってとろんとした表情のハルヒは色っぽかった。
…このハルヒを見たやつから料金を取りたくなった。今はいくら貰っても見せはしないが。
抱き上げたハルヒの女性としての体の柔らかさに正直クラクラした。
理性を総動員してハルヒを布団に横たえる。さっさと寝てくれないと俺のほうがヤバイ。
「ねぇ、キョン~」
甘えるような声と誘うような瞳。思わず息を飲む。
「あらしのころ心配らったぁ?」
言葉になってない。でも心配だったか、なんてのは当然のことだ。ハルヒは俺の…。
「らいじょうぶ。あんら以外にはこんなかっこうみせらいわよぉ」
俺には見せるってことか、俺には見せていいってことか。
「らいたいねぇ、あんらはいつもらめなのよぅ。しっかりしないしぃ、ゆうじゅうふらんらしぃ」
愚痴か?絡み酒か?
「いっつもあらしばっか苦労してぇ、ねぇ、あらしのことろうおもってるのよぅ」
ちょっと泣きそうなハルヒ。今のハルヒに言ったって意味がない。どうせ忘れるのだろうから。
だから。
「好きだよ。他の誰にも渡したくない。一生隣にいて欲しい。それくらい愛してる」
「…ふぇ?」
ハルヒは俺の言葉を咀嚼し
「あ、あれ?」
組み解き
「そ、それって…」
理解した。
「ば、ばかぁ!」
そして立ち上がろうとして
「ふぁ?」
頭に血が上って
「きゅう」
俺の胸に倒れこんでダウンした。
「…頭いたい。水ちょーだい」
翌日、昼過ぎに起きたハルヒは絶賛二日酔い中。昨日のことも覚えていないようだ。
「ねえ、昨日あたしに何か言ったでしょ。なんか大事なことを言われた気がするんだけど」
チラチラこっちを見ながら顔を赤くして言うハルヒ。…もしかして覚えてるのか?
まあとりあえずとぼけておこう。
でも安心しろ。
今日はお前の誕生日。
昨日なんとか用意できた指輪と一緒にもう一度言ってやるよ。 |