あらすじ
12月のある日、ハルヒが登校するとそこにキョンの姿はなかった。
周りのクラスメイトに聞いても誰もキョンのことを知らない。キョンの存在がこの場から丸ごとなかったことにされていたことにショックを受け、落ち込んだハルヒのその夜の話・・・
当たり前のものほど、それがない時に不自由するって言うけど、こんなにつらいなんて思わなかった。
思えばSOS団が出来て以来、あたしの横にキョンがいるのは当たり前で、だからこそこんなに強く意識していなかった。でも、あたしの毎日が楽しくなったのはキョンのおかげ。中学の頃の笑顔のない日常から脱却できたのは、キョンが話を聞いてくれたから。文句を言いながらもあたしと本気で話してくれるキョンが、あたしにとってなくてはならない存在だった。
そのキョンがいない?どうして?
キョンとの思い出は、SOS団での思い出は、決して夢でも嘘でもない。
そうだ、これを見れば・・・あたしは本棚からアルバムを出した。この中にはキョンの写真が入っているはず…そう思ってアルバムを開いたあたしを襲ったのは、言いようのない恐怖感だった。
ない。1枚もない。どうして?キョンだけじゃなくてSOS団に関する写真はことごとく存在しないで、
アルバムには空白が広がっていた。
…嘘よ。こんなの…嘘でしょ?嘘なんでしょ?誰よ?誰なのよ!こんなことをしたのは!!
あたしは冷静さを失って、何も考えずにものすごい勢いで玄関から外に飛び出して、夜道を駆けた。
人通りの少ない住宅地の中をひたすら走っていった。目から涙が流れて、風で頬を伝っていった。
キョンの顔が、あたしに向けてくれた笑顔が、走馬灯のように浮かんでは消え、また浮かんでくる。
一緒に馬鹿なことをしたり、けんかもしたりもした。あたしからきつい言葉を発したこともあった。
でも、キョンはあたしのことを嫌っていないって信じてた。誰よりもキョンを信じていた。
ねえキョン、あたしのことが嫌いだったの?だからあたしの前から消えたの?
あたしはあんたがいなけりゃよかったなんてこれっぽっちも思っていないのに・・・
どれくらい走っていたんだろう。息も荒くなってきて、さすがにつらくなってきて立ち止まった。
どこなんだろう?ここは。分からないけれども、変わらずにそこにあるのは大きな星空。
小学生の頃、球場で感じた自分の小ささがここでも感じられた。
ずっと見ていると吸い込まれそうな星空を見ながら、無意識に「あの歌」を歌いだしていた…
星空見上げ 私だけのヒカリ教えて
あなたは今どこで誰といるのでしょう
楽しくしてることを思うと寂しくなって…
そこまで歌って、あとは涙がボロボロと出てきて声が出なくなった。
道の真ん中なのにあたしはその場で泣き崩れてしまった。なんて情けないんだろう。
ううぅ、えぅ、グスッ、うぅ…
人気のなかった道の彼方から、足音が近づいてきた。人に見られちゃう。分かっていたけど、涙はどうにも止まってくれない。泣き声がむなしく響く。
近づいた足音は、やがてあたしの目の前で止まって、気にかけて近づいてきた。
「大丈夫ですか?こんな時間にどうしたんです?」
親切な口調で話しかけてきたその声の主を見て、あたしは驚いた。
「…っっ キョン!」
以上です。続きは好きなだけ妄想してください。ハルキョンは期待を裏切りません。 |