今日も寒い、そんな冬のある日。
「みくるちゃーん」
「ひゃうい」
またハルヒが朝比奈さんに抱きついてる。いい加減にしてやればいいのに。
まああったかそうだけど。
そんな風に思いながら2人をみていた。ふとハルヒと目が合う。
「なによ。あげないわよ。うらやましがっても無駄なんだから」
誰がうらやましがるか…いやちょっとうらやましいかな?
「涼宮さん。彼は涼宮さんではなく朝比奈さんをうらやんでいるんですよ。
後ろから抱きつかれたいと思っているんです」
古泉てめえぶっ飛ばすぞ。誰が…
いきなり後ろからハルヒに抱きつかれた。
後ろから手が生えて、俺の前で組まれ、ふわっと締められた。
「こう?」
耳元でハルヒの声。やめろ、と言いたいが言葉にできない。
焦るな俺。深呼吸だ。うん。
「古泉君こいつ今どんな顔してる?」
きっと真っ赤になっているだろう。
言うなよ古泉。言ったらぶっ殺すぞ。視線で伝える。
古泉はニヤニヤ顔のまま言う。
「あなたと同じ表情ですよ涼宮さん」
え?つまりこいつも赤くなって…
ハルヒは腕を解き団長席に戻る。
「あーあ、つまんなかったわ、固くて抱き心地よくないし…」
窓の外を見たままこっちに顔を向けない。
「なあハルヒ、こっち見ろよ」
「嫌よ。何であんたの言うこと聞かなきゃいけないの」
そうかい。じゃあ。
ハルヒを後ろから抱きしめる。
これはただの仕返しで他意はない。俺らしくなかろうと問題はない。うん。
むしろ体がやたら熱くなっているのは良いことだろう。きっと。
ハルヒは何も言わない。固まっているかのようだ。さっきの俺のように。
いすを回し、古泉のほうを見る。
ニヤニヤ顔というより呆れ顔だ。朝比奈さんは真っ赤になってる。
「そういうのは2人きりのときにどうぞ。なんなら今すぐ部屋から出て行きますよ。」
「やかましい、さっきと同じ質問だ。こいつは今どんな顔をしている?」
古泉はこいつにしては珍しくため息をついた後言った。
「あなたと同じ表情をしてますよ」 |