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素敵な旦那様の見つけ方
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皆さんこんにちは、朝比奈みくるです。最近寒い日が続きますね。
さて、今日はこの間の不思議探索の時間に起こったちょっとした話を皆さんにお聞かせしたいと思います。それではお話させていただきますね。
「みくるちゃん、何か面白そうな物はあった?」
待ち合わせ場所で待っていると涼宮さん達が帰ってきました。
「いいえ特には…涼宮さんは?」
「有希は?」
あぅ~無視しないでくださ~い。首を短く横に振る長門さん。まあ、長門さんは私とペアだったんだから当たり前なんですけど。
「不甲斐ないわねぇ。SOS団としての自覚が足りないんじゃないの?」
「自覚程度でどうにか出来ないわけねーだろ」
絶妙な突っ込みをいれるキョン君。まあまあ、と古泉君が場を落ち着かせます。
「とにかく、一度お昼を取って午後に賭けてみましょう。この辺りに最近美味しいカレーの店が出来たんですよ」
まだ若干不機嫌そうな顔をしていた涼宮さんでしたが、それを聞いてパッと顔を輝かせました。
「そうね。過ぎ去った過去を悔やんでもしょうがないわ。それより午後に備えないとね。古泉君、その店に案内しなさい」
「かしこまりました」
古泉君を先頭に私達は街を歩き始めました。
キョン君がこそっと近寄って
「カレーで機嫌を取り戻すなんて現金な奴ですよね」
と囁いてきました。ん~とりあえずノーコメントで。
「みくるちゃん、行くわよ!」
「あ、待ってくださ~い!」
午後は涼宮さんとペアです。でも涼宮さんって歩くの早いから付いて行くのが大変…
「きゃっ!?」
あぅ~転んじゃいましたぁ~、とっても痛いです…。
「何やってんのよみくるちゃん。ほら、立てる?」
手を差し伸べてくる涼宮さん。お心遣いは嬉しいんだけど、私の方が上級生なのに……。
「みくるちゃんは永遠の妹キャラだからいいのよ。それも一つの萌え要素なのよ」
妹キャラって何なんだろう。キョン君の妹ちゃんみたいなのかなあ。
「何にも見つからないわねぇ。何てことない、いつもの街だわ」
退屈そうな涼宮さん。ここは私がどうにかしないと、ですね。
「あ、涼宮さん、あれ見てください。「占い屋」って書いてありますよ!」
「占い…?」
何でもいいから涼宮さんに興味を持って貰わないと!
「どんなものか一回入ってみませんか?」
「先週あんなとこに占い屋なんてあったかなあ…気になるわ、行ってみましょう!」
何はともあれ涼宮さんもその気になったみたいですね。
「ヒヒヒ…いらっしゃあい」
うぅ~いかにもそれっぽいお婆さんが私達を出迎えてくれました。変な色の照明や壁の小道具も見るからに怪しいですぅ~。
「何を占って貰いたいのかね?」
「そうね……みくるちゃんの運勢について占ってもらおうかしら」
わ、私の運勢ですかぁ?とりあえずお婆さんの前の椅子に座ります。
「ふぅむ……お主の運勢をのぅ」
何か目の前の水晶にブツブツ言ってます。はっきり言って怖いです。
「お主、本当にこの世界の住人かの?」
!!
「何やら違和感のような物を感じるのじゃが…まあいい。お主は今日3回道端で転ぶ。用心されるがよい」
「へぇ~さっき1回転んだからあと2回転ぶわけね」
そんな場合じゃありません。今の私の顔、涼宮さんに見られなくて本当によかった…。このお婆さん、ただ者じゃありません。
「それじゃ次はあたしね」
そう言って座る涼宮さん。な、何を質問するつもりなんでしょうか…。
「あたしは何でもいいわよ。あたしに関係することなら運勢でも未来でも」
ホッと安心の溜息。てっきり「宇宙人は本当にいるのか」とか「超能力者にはいつ会えるのか」とかいう質問だと思ったから…。
「ヒヒヒ、では言うがな」
そう言ってやけに間を開けるお婆さん。何を言うつもりなんでしょうか…。
「今日の16時丁度に初めてお主が眼に映した人物」
「あと1時間後?」
「そやつはお主の未来の伴侶じゃ」
………。
「あのぉ、涼宮さん?」
涼宮さんはあれっきり黙ったままです。なのでお金は私が払いました。意外と安くてビックリです。
「みくるちゃん」
ひゃ、ひゃ~い!?
「あんなのインチキよね。信じる必要ないわよね」
涼宮さん…バッチリ信じちゃってますけど。
「大体、いくらドジなみくるちゃんでも1日に3回転ぶなんて有り得ないじゃない。みくるちゃん、過去に1日に3回も転んだ経験ある?」
いえ…ありませんけど。
「ほら、やっぱりそうよ。とにかくあたしは信じな」
「きゃっ!?」
痛た…なんでこんなところに段差があるんですかぁ?……あ。涼宮さんがこっちを凄い睨んでます。さっきのお婆さんより怖いです。
「その…ごめんなさい」
はぁ…と溜息をつく涼宮さん。申し訳ありません…。
時計は3時45分を指してます。例の時間まであと15分です。
「ふぅーん、そう」
今私達は広場のベンチに並んで座ってます。…涼宮さんが「4時になったら目を瞑ればいい」なんて言うから。
「結局信じちゃってるじゃないですかぁ」
「わ、悪い!?」
別に悪くはないですけど…。涼宮さんって恋愛のことになるとこれなんですよね。
そういえば涼宮さんの旦那さんになるのってどんな人なんだろう。いくら涼宮さんでもいつかは結婚するだろうし、その時涼宮さんのハートを射止める人って…。
猪突猛進な涼宮さんをしっかりブレーキ出来て、それでいて涼宮さんに一緒に付いて行ってくれる人が一番かなあ。私の個人的な考えですけど。
「……涼宮さん?」
隣から寝息のような声が…と思ってみると案の定涼宮さんは寝ちゃってました。涼宮さんって結構よく寝るんですよねぇ。
まあこれなら4時には目を覚まさないだろうし…あ、でも誰かが夢の中に出て来たらどうなるんだろう。
「朝比奈さん?何やってるんですか?」
驚いて前をみるとキョン君が立ってました。キョン君こそ、長門さんに古泉君はどうしたんですか?
「まだ図書館にいますよ。俺はどうもあの厳かな雰囲気が苦手なんで」
そう言えばここは図書館の近くだったっけ。キョン君は次に私の隣に視線を逸らしました。
「やれやれ、こんなとこで寝たら風邪ひくっての」
…ひょっとして涼宮さんを起こすつもりですか?
ちょ、ちょっと待ってください!本当にあと少しで4時になっちゃうんです!
「ハルヒはほっぺた引っ張るとすぐ起きるんです。ほらハルヒ、起きろ」
へぇ~そうなんですか…ってそうじゃなくて!あ、あと10秒しかない!?
「ん、ん~……おが?」
あと5秒!ああ…涼宮さんが目を開けちゃいました。
「まだ寒いんだから野宿は止めとけ」
この場合野宿って言わないんじゃ…そして涼宮さんの意識がはっきりした瞬間
「……4時です」
「ハルヒ?朝比奈さん?一体どうし
そこまでしか言えず見事なアッパーを食らうキョン君。涼宮さんは相手が倒れるやいなやすぐに馬乗りになります。
「何しやがる!」
「うるさいうるさい!この…このバカキョン!!」
「俺はただ起こしただけだろ!」
「起こすな!あんたが…あんたがあたしの…とにかく絶対認めないわ!!」
「何を言ってるんだかさっぱりわからん。とにかく恥ずかしいから早くどいてくれ。公衆の面前だぞ」
「あれはインチキ!絶対に絶対にぜぇ~ったいにインチキだから!!」
「何がインチキなんだ!?朝比奈さん助けてくださ…朝比奈さん?」
はぁ~。いくら私でも限界はあります。勝手にしてください。
……末永くお幸せに。きっといい夫婦になれますよ。
「あの占いのお婆さん、本当に凄い人だったんだなぁ……きゃっ!?」
あたた…また段差に…
あ、3回目…。
終わり |
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