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長門さんとミヨキチ
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日本を含めあらゆる国で安息日とされ、仕事も学校も休みとなる日曜日。
しかし我らがSOS団にそのようなものは存在せず、
今日も今日とて不思議探索に駆り出されることになった。
「遅い!罰金!!」
毎度の事ながら集合時間には間に合ってるじゃねーか。
しかも今日は30分も早く来てやったんだぜ?
なのになんでお前らはもうついてるんだよ……
「あんたは私への忠誠心が足りないのよ」
残念ながら俺は騎士でもなんでもない。
それ以前にお前は俺の何なんだ……
「でもあんたにしちゃ早くに来たんじゃない?少しだけ評価してあげてもいいわ」
それはありがたいこった。
まぁ今日早く来れたのは、朝から公園に遊びに行く予定だった妹が
俺にいつもより早く地獄の断頭台をかましたからなんだが……
別にお前の予定にあわせて起こしてくれなくていいぞ?妹よ。
「評価はいいから罰金を無しにしてくれ。軽い財布はコリゴリだ」
「ダメよ!団長の命令は何があっても覆らないの!!」
やれやれ……せっかく妹とミヨキチに貰った財布が早くも軽くなっていく……
恒例のくじ引きでは朝比奈さんと古泉が二人ペアとなった。
この組み合わせではどう見ても美男美女のデートにしか見えないぞ。
くそ、いまいましい。ああいまいましい、いまいましい。
そして癒しの妖精とニヤケ野郎がペアと言うことは必然的に、
「キョンと有希があたしのペアね……喜びなさいキョン」
何を喜べと言うんだ…たしかに傍から見れば両手に花なんだがな……
同じ花でも長門は静かにたたずむ白い美しい花だが、
お前の場合は虫どころか象でも食べちまう食虫花だ。俺の命が危ぶまれるぜ。
……まぁまんざらでもないけどな。
毎度の事ながら伝票を強制受理させられた俺はレジで支払いをする。
さらば樋口一葉……財布がまた軽くなっていく。
まぁ質量的には小銭が増えて重くなってるんだがな……そこは気持ちの問題だ。
「あっ、その財布……」
朝比奈さんが俺の財布を見て少し驚いた声を出す。
「もしかしてこの間言ってた妹ちゃんとお友達からのプレゼントですか?」
「え?あぁ、そうですよ」
よく覚えてましたね朝比奈さん。
いつもの俺の財布の柄も覚えてたんですか?
「見せてもらってもいいですか?」
朝比奈さんの頼みだ……断るような奴はぶっ飛ばしてやりますよ……
と言いたいが、ここ最近の未来からの指令をやってみて、今度は断りたいと思ってたりもする。
でもまぁこの程度のお願いなら断る必要はない。
「どうぞ。いくらでも見てやってください」
「ふふ。ありがとう……わぁ~ホントに重いんですね~
これならもう財布が軽くなることはなさそうですね」
今まさに軽くなったトコですよ朝比奈さん。
それとももうこれ以上は、って意味ですか?まぁこの顔が見れれば安いもんですが……
「デザインも中々……これを選んだ人はセンスがありますね」
いつの間に来たんだ超能力者よ。あと顔を近づけるのは止めてくれ。
俺には男の顔を見て喜ぶ趣味はないぞ。
「あぁ、それならミヨキチが選んだんだろ。うちの妹にそんなセンスがあるとは思えん」
なんたってウチの妹は『財布が軽い』と嘆いていた俺に『こうすればいいよ』って言って、
ネジや釘を財布に入れてたくらいだからな……
将来朝比奈さんみたいにならないか心配だ。朝比奈さんは……もう手遅れかな?
だが、俺はこのときすぐ近くで恐ろしい妖気を感じた。
朝比奈さんも何だかオロオロして俺の後ろを見ている。
たしか俺の後ろには……長門とハルヒがいたな。
奇遇なことに妖気もその方角から感じるんだが……振り向くのは止めよう。
とりあえず、店から出よう。店員さんもこっちを見て固まってるしな。
店を出た俺たちはいつものように二手に分かれた。
おびえる朝比奈さんを古泉にまかせて、俺は長門とハルヒと歩き出した。
二人とも表情はいつもどおりだが、黒いオーラが隠れてない気がする。
「ねぇキョン……」
「な、なんだ」
突然名前を呼ばれて挙動不審になる俺。
涼宮さん?なんか笑顔が怖いのは気のせいでしょうか?
「あたしもキョンの財布見たいな~」
なんだハルヒ?もう俺の財布には金はないぞ。
「ちょっとデザインをあたし風にアレンジしてあげようかと思って……ボロゾウキンニシテヤル」
え?デザインアレンジってなんですか涼宮さん?
ていうか今最後に何かボソッと言いませんでした?
「私も見たい……」
長門もどうしたんだ?どこにでもある普通の財布だぞ?
別に中に本が入ってるわけじゃないぞ。
「実際に見ないと情報結合を解j……何でもない。ただ興味があるだけ」
えぇ?今何か懐かしいこと言いませんでした?
朝倉のナイフと共に記憶が浮かび上がってきてるんですが……
俺が朝比奈さんみたいにおどおどしていると、二人は強硬手段に出た。
「あら……あそこの公園に丁度よくトイレがあるわね~ちょっとそこまで行かない?」
行かない……断じて行きたくない。今言ったらカツ上げより酷い目に合わされそうだ。
だがそんな俺の意思を無視してハルヒは引っ張っていく。助けてながモ~ン
「私もそれがいい……あなたも一緒に……」
何だこの四面楚歌状態は……そして俺は二人にズルズル引きづられそうになっていた。
誰か助け……この際古泉でもいい。チャック全開の谷口だってOKだぜ。
そんな俺の願いが通じたのか、俺を呼ぶ声がした。
「あっ、キョンくんだ~なにしてんの~?」
妹だ!そういえば今日公園に行くって言ってたな。
ありがとうハルヒじゃない神様!!あなたの遣わした助け舟ありがたく頂戴します!
……だが、この助け舟には船底がなかったようだ……
「こんにちは、キョンお兄さん」
……神様……底を抜くのはひしゃくだけにしてくれ…
そう嘆く俺に手を振りながら元気いっぱい向かってくる妹の横には……
一人のスレンダーな美少女がいた。
名前は言わなくてもわかるだろう?後ろの二人も分かってるし。
そう……その少女の名は吉村美代子……通称ミヨキチだ……
あぁ……後ろの方を見たくないな……
飛びついてきた妹により、俺は長門とハルヒの手枷から逃れることが出来た。
ありがとう妹よ……お兄ちゃん嬉しいぞ。
でも今回ばかりは他の子と遊んでくれていればもっと嬉しかったんだが……
「あっ、ハルにゃんに有希ちゃんだ~」
わが妹ながらこの状況で声を掛けられるとは……大物になるよお前は。
「こ、こんにちは。妹ちゃん」
「こんにちは……」
二人とも顔が引きつってるが気のせいか?
「そうだ!キョンくんおサイフつかってる~?」
バ、おまっ、地雷ワードを軽々と……
後ろの二人の視線が怖いが、お兄ちゃんとしてはちゃんと妹に空気を読めと注意しなければ。
「あぁ……使わせてもらってるよ。ありがとな」
「えへへ~」
あれ?俺さっき何て考えてたっけ?まぁこの笑顔が見れればなんでもいいさ。
兄バカじゃないぞ?
「ミヨキチと2人でさがしたんだよ~」
そうかそうか……お兄ちゃん嬉しいぞ。背中がジリジリしてるけどな。
「気に入ってもらえて嬉しいです」
ミヨキチがお淑やかに言う。
ホントにウチの妹と同い年なのか?何を食えばこうなるんだ?
「『キョンくんが重いサイフがほしい』っていってたってはなしたら、
ミヨキチがみつけてきたんだよ~」
妹よ……それは二人で見つけたとは言わないぞ?
だがここはちゃんと感謝の意を述べなければ……すでに背中は重度の火傷だが。
「あぁありがとな……ミヨキチもありがとう」
「いえ、そんな……」
あくまでお淑やかなミヨキチ。
娘が出来たらこんな子に育てたいな。もしくは鶴屋さんみたいな子がいい。
「ところで……」
何だ?お兄さんとしてはそこから先は言わないでもらいたい。
出来ればもう少し現実逃避を……
「そちらの方々は……どちら様でしょうか?」
あぁ……なんか頭に『修羅場』って浮かんでる気がする……
俺がしばし途方にくれていると妹がミヨキチに言った。
「んとね~こっちがハルにゃんで、あっちが有希ちゃんだよ!」
妹よ……もう少しまともな紹介をしてくれ。
お兄ちゃんはちょっとお前の将来が心配だぞ。
「涼宮ハルヒ……よ。よろしくね?ミヨキチさん」
史上これほど怖い自己紹介もないだろう。
手を差し伸べてるが握りつぶす気満々じゃねーか。
「長門有希……よろしく」
長門も俺に分かる程度に微妙におかしい。
まぁミヨキチから見れば普通の女の子に見えるだろう。
「吉村美代子です。よろしくおねがいします」
相変わらず丁寧な物腰だな。
一応『ミヨキチ』というのはあだ名だと俺がフォローを入れる。
「ねぇねぇ~キョンくんたちはなにしてんの~?もしかしてデート?」
妹の『デート』と言う言葉に違う意味で豹変する二人……
「ちょっ、妹ちゃん!?何てこというの?そんなわけないじゃない。あたしたちはただ……」
テンパりすぎだぞハルヒ……そこまで否定されると悲しいものがある。
「デートではない。私たちはまだそんな関係になっていない」
長門もそうはっきり否定しなくても……って『まだ』ってなんだ?
だが妹のおかげで空気は暖かくなった。ありがとう妹よ。
「コラ、あんまり馬鹿なこと言って人を困らせるんじゃありません。おにいちゃん怒るぞ?」
「そうよ。あんまりキョンお兄さんを困らせたらダメじゃない」
ミヨキチもフォローしてくれる。いい友達を持ったな妹よ。
だが次のミヨキチの言葉に再び空気が凍りついた。
「それにどうみてもデートしてるようには見えないでしょ?」 |
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何か……物凄く寒いんだが……
この地方が氷点下を切ることは珍しいんだがな……
凍死寸前の俺をおいて、ミヨキチは妹に『デート』の何たるかを教えていた。
「いい?デートってのは2人でやるものよ?」
あぁそうだな。
「それにキョンお兄さんは高校の『お友達』に日曜日は不思議探検に連れてかれるんでしょ?」
なんか『お友達』ってとこを強調してた気がするが……
ハルヒ方面の気温も一気に下がった気がするぞ?
「それにね……」
ミヨキチが妹を諭すように言う。
傍から見れば本当に姉妹みたいだな。
「『お友達』と遊んでいるのはデートじゃないのよ」
……キミは本当に小学生なのか?
それとも最近の小学生ってのは皆こんな子なのか?
「じゃあわたしはキョンくんとデートできるの~?」
……お前も本当に小学生なのか?
わが妹ながらあと5年はお子様ランチが頼めそうだ。
「う~んどうかな~?キョンお兄さんは優しいからデートしてくれるんじゃないかな?」
「わ~いやった~キョンくんとデート♪デート♪デ~ト~♪」
あんまり『デート』なんて言葉を連呼するんじゃありません。
それに『妹』といっしょにいても『デート』とは言わんぞ?
「ちがいますよキョンお兄さん」
俺の疑問にミヨキチは答えた。
なんだ?最近の小学生は兄妹でデートするのが流行ってるのか?
そう考えてるとミヨキチは妹の両耳を塞ぎ、そっぽを向かせた。
「私が言いたいのは……」
そっぽを向かせられキャッキャッ笑ってる妹をよそに、
ミヨキチは俺に笑顔を見せて、言葉を続ける。
「たかが『お友達』がキョンお兄さんとデートなんてありえないってことですよ♪」
キョンの財布……この前のとは違うわよね?
キョンの持ち物なら全て把握してるんだから見間違いではないわ。
でもキョンに財布を買う余裕なんかあったかしら……
……もしかして、誰かからのプレゼント?
誰?このあたしを差し置いて誰かそんなことを?
そういえばこの前キョンが何か言ってたわね……
「あっ、その財布……」
みくるちゃん……今あたし考え事してるの、財布のこと以外……って財布!?
驚いてキョンとみくるちゃんの話を聞く。
キョンがみくるちゃんと話しているのは気に食わないけど、
今はそれどころじゃない。
「もしかしてこの間言ってた妹ちゃんとお友達からのプレゼントですか?」
妹ちゃん?あぁキョンの妹ちゃんかぁ~
あの娘カワイイのよね~あの小動物ちっくなところが。
でも私のこと『ハルにゃん』て呼ぶのは……
やっぱりちゃんと『ハルヒお義姉さん』って呼んで欲しいわね。
まだ気が早いかしら?
「デザインも中々……これを選んだ人はセンスがありますね。」
当たり前じゃないの古泉君。私の義妹が選んだのよ?
……でもそうね~あの子こんなセンスよかったかしら?
バッグに入ってたときにはびっくりしたけど……
未来の義妹の突然の成長を喜んでいた私は、その次のキョンの言葉に驚いた。
「あぁ、それならミヨキチが選んだんだろ。うちの妹にそんなセンスがあるとは思えん」
……ミヨキチ?誰それ?
どっかで聞いた事があるけど……そうだ、キョンの恋愛小説だ。
くじで決めてキョンに無理やり書かせた恋愛小説。
そのなかに登場した人物だ……いや、実際にいる人物。
……そしてキョンとデートした女の子……
胸の奥からよく分からない感情があふれてくる。
そういえばこの前有希に人物像聞いたっけ……
有希が絵にしてくれたのを見たけど、結構カワイイ女の子だったわね。
……何だかイライラしてきたわ。
キョンもそんな得体の知れない娘からプレゼント貰ってんじゃないわよ。
なんだか、デザインもキョンにあってないわよ。
……そうだ私が素敵なデザインに変えてあげましょう。
もしかしたらその過程でボロ雑巾になっちゃうかもしれないけど♪
ミヨキチ……彼の口からその言葉を聞いたとき、
私の体内でエラーが発生した。
保存してあるデータから照会する。
彼の妹の友人。容姿は同年代の女性の水準から大きく逸脱している。
これは彼の妹にも言える事だが、ベクトルが違う。
彼が大事そうに財布を持っている。
突然、その情報結合を解除したくなった。何故?
彼の嗜好を調べるために財布を見せてもらいたいと要求する。
彼は何だか渋っているよう。恥ずかしいのだろうか?
少し残念。でも涼宮ハルヒが場所の移動を提案する。
目立たないところならば彼も見せてくれるかもしれない。
そうこうしていると彼のことを呼ぶ人物が現れる。
声と容姿から彼の妹と認識。
その後方にもう一つの人影を認知。
……ミヨキチ。
彼女に挨拶をする。
初対面の人間に会うと若干緊張するのは涼宮ハルヒも同じようだ。
しかし先ほどの会話によると、彼の財布を選んだのは彼女らしい。
あとで、彼の嗜好を聞かせてもらおう。最優先事項。
その後彼女は彼の妹に『デート』というものについて話を始めた。
……大変ためになった。私はまだ生まれて数年しかたってないが、
彼女はもう10年以上生きている。人生の先輩からの言葉はありがたい。
盗み聞きみたいな形になってしまったので、今度はもっとじっくり聞きたい。
これも優先事項に設定。
彼女の話を総合すると、彼と『デート』をするためには
『お友達』ではいけないらしい。
というより最低限2人きりでないといけないらしい。迂闊。
あれ?あそこにいるのはキョンお兄さんかな?
それに……横にいるのはキョンお兄さんの彼女さんだ!
この前二人仲良く歩いてた女性だわ……けど、もう一人女性がいる?
う~んキョンお兄さんはああ見えて優しくてモテる人だから、
元カノがあらわれたのかしら?それとも泥棒猫?
キャーこれって『修羅場』ってやつじゃない!?
……ってそんな場合じゃなさそう。泥棒猫さんがお兄さんを引っ張ってる。
まったく……キョンお兄さんの彼女さんは控えめで大人しそうだから困ってるじゃない。
ここは何とかしないと……
ってちょっと……あぁ~あの子ったらお兄さん見つけて一目散だわ。
純粋と言うか空気読まないと言うか……まぁそこがあの子のいい所なんだけどね。
仕方ない、あの子の将来のお義姉さんのためにも一肌脱ぎますか。
とりあえずあの煩そうな泥棒猫に友達と彼女の違いを分からせてあげればいいかな?
あいかわらずこの子は……デートの何たるかなんてもうみんな知ってるのに~
でもそんな所がこの子のいい所なんだけどね。
あとでじっくり説明してあげるからね。
でももう少し待ってて。
あなたのお兄さんと未来のお義姉さんのためにもわたし頑張るから。
それにしてもあの大人しい女性……有希さん?。
まだキョンお兄さんと正式な交際はしてないのかしら?
キョンお兄さんたら……そこは強引にでも関係を求めなきゃ。
でもお互い待ってる感じかしら……それも素敵ね。
そしてネコさん……ハルヒさんだっけ?
わたしが『お友達』って連呼したからって……
すごい顔よ?この子には見せられない。
最後のとどめの一言の前にこの子をそっぽ向かせてよかったわ。
これでわかったでしょ。キョンお兄さんには有希さんがお似合いなのよ♪
さっきからミヨキチと長門は何やら恋愛について議論している。
というかどうみても長門がミヨキチに教えを乞うかたちになってる気がする。
ミヨキチの話もずいぶんすごいが……少なくてもアホの谷口の話の数億倍はタメになる。
最近の小学生はませてるんだな。おマセさんだ。
ちなみにハルヒは俺の妹と不思議探検に行っている。
ミヨキチが妹の耳元で何事かボソボソ言ったあと、満面の笑みで妹が誘い出したのだ。
なにやら渋っていたハルヒだが、長門に『後は任せたわよ有希!』と言うと、
二人で行ってしまった。
さすがのハルヒ様も妹の笑みには勝てないようだ。
ただ一つ気になるのは、さっきからやたらと俺の話題が出ることだ。
確かに二人の交友録の両方に俺の名前があるだろうが、そんな話題に上る様な事はしてないぞ?
あと、長門が真剣な顔で『どうやったらそんな胸が大きくなるのか』と聞いてた気もする。
確かにミヨキチのほうが大き……なんでもない。
まぁ何にせよ長門の友人が増えたんだ。
これは喜ぶことだろうね。というより大変喜ばしい。
年の差なんて関係ない。友達は友達だ。
これを期に長門がもっと活発な少女になることを切に願うね。
俺はそんなことをぼんやりと考えながら二人の少女の姿を眺めていた......
P.S.
その後集合場所に現れたハルヒと妹は至極上機嫌だった。
「いや~やっぱあんたの妹ちゃんは可愛いわ~」
当たり前だ。俺の自慢の妹だぜ?
ときに気になることが一つ。
「古泉……その怪我どうしたんだ……」
オロオロの朝比奈さんの横にいるボロボロの古泉に尋ねた。
「実はついさっき閉鎖空間が出たので……」
それで例の『バイト』か?
そんなに長時間やってたのか?
「いえ、時間は10分程度ですが……なにぶん強さが今までにないほどで……」
そうかご苦労なことだ。しかしハルヒは何にイライラしてたんだ?
「それは分かりません……ですが一つ分かったことが」
「何だ?」
「涼宮さんの怒りを納めたのはあなたの妹さんのようです。ついては一つ相談があるのですが……」
あいつハルヒの怒りを静められるのか……こりゃお前たちには女神みたいなもんだな。
「えぇ……ですから妹さんを是非この僕に譲っ……」
古泉が更なる重傷をおった話はまた後日…… |
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